第2話

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 というわけで── 「なあなあ、佐島佐島、佐島」  今日も朝から、間中くんは私のあとをついてくる。 「なあ、考えてくれた? キューペットの件」 「ペットじゃないから。『ピット』もしくは『ピッド』だから」 「それそれ、キューピット」  もうやだ、しつこい。  でも、間中くんのほうが足が長いから、振り切るのはたぶん無理だ。それに行き先は同じ教室だし。  あれから3日──何度も断ったけど間中くんはあきらめようとしない。 「佐島しかいねーんだよ。池沢先輩と仲いいの」  そんなことない。結麻ちゃんと同じ吹奏楽部の人、うちのクラスにも何人かいるでしょ。 「でも、あいつらはこのこと知らねーし」 「打ち明けて相談してもらえば?」 「無理! 絶対無理!」  大声で否定したあと、間中くんはぽつりとつぶやいた。 「バレたら絶対笑われる。俺のキャラじゃないって」  ──たしかに。  少し前、間中くんが、私に「付き合って」って言ったときのことが脳裏をよぎる。  あのときのクラスメイトたちの反応はほぼ「ありえない」って感じで、私はそれを「佐島なんかと?」って意味だと受け取った。けれど、実際はそれだけじゃなかったのかも。「間中が告白!?」とか「間中って好きな子いたの?」とか、そういうのもあったりして。 (って、流されるな私!) 「なあ、佐島──」 「ダメ、無理」  元親友の恋バナにすらうんざりしてしまった私だ。間中くんに協力できるとは思えない。  それに「一目惚れ」っていうのも気に食わない。 (そういう人、すごく多いけど)  それって、つまり結麻ちゃんの外見が好きってことでしょ?
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