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なのに、今日も間中くんはしつこい。朝、玄関で内履きに履きかえていると「佐島ぁ」とどこからともなく現れる。
「無理」
「なんでだよー?」
「なんでも。無理なものは無理」
同じように内履きに履き替えていた子たちが「なにあれ」って感じでこっちを見ている。
ああ、いたたまれない。
こういうの、ほんとやめてほしい。
最近では、クラスメイトたち好奇の目を向けられているくらいだし。
なので、今日こそこの状況を変えると決めた。
「昼休み、ここに来て」
渡したのは、「ひみつの場所」への地図。
「……これ、どこ?」
「来ればわかる。この場所、ひみつだから絶対誰にも教えないで」
「えっ、佐島のひみつ基地ってこと!?」
すげーやべーかっこいい!
無邪気にはしゃぎだした間中くんにめまいを覚えたけど、ここは我慢。誰かに聞かれないように、早く会話を切りあげないと。
「いい、わかった? 給食が終わったらここに来て」
「おう」
「絶対、誰にも内緒だからね?」
「おう!」
間中くんは飛び跳ねるような足取りで、先に教室に行ってしまった。
なんだかワクワクしているみたいだけど、あいにく彼の期待には応えられない。
(今日こそはっきり断ろう)
それで、こんなふうなつきまといをきっぱりやめてもらうんだ。
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