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私としては、わりと重要な問いかけ。だって、昨日からずっとこのことが頭にあったから。
間中くんは「んー」と大きな目を瞬かせた。いちおう彼なりにまじめに考えてくれているみたいだ。
1分……2分……3分経過。
ようやく彼の口から出てきた答えは──
「わかんない! その『もしも』が想像できない!」
「いや、だから……」
「うまくいったら俺は絶対に別れない! それしか言えない!」
──ダメだ、話が通じない。
けど、まっすぐピカピカな間中くんの目を見ているうちに「ああ、うん……」みたいな気持ちになった。
だって、これはこれで彼らしいじゃないか。
あれこれごちゃごちゃ考えない、「やる」と決めたことだけに集中する。「トレーニングの効果がでなかったら」「せっかく付き合ってもいつか別れたら」──そんなの、彼には本当にどうでもいいことなのだ。
だったら、話は簡単だ。
「私は、力を貸すだけだね」
これまでどおり──ううん、これまで以上に。
この件について、先のことをあれこれ考えるのはやめた。だって、依頼者が気にしないって言ってるんだ。これ以上、私が頭を悩ませるのはそれこそ「時間の無駄」だ。
よし、改めて──
「頑張ろうね」
私が差し出した右手を、間中くんは「おう」と握りかえした。
そして、ニパッと笑った。
「こっちこそ、よろしくな! 佐島のこと、すっげー頼りにしてっから」
──あれ? こんな感じだったっけ、間中くんの笑顔って。
まるで、夏のひまわりが花開いたときみたいな?
あるいは、夜空に大きな花火が弾けたときみたいな?
ああ、でも、そうだったかもしれない。今は封印しているから、忘れかけていただけで。
(そうだ、それだけだよ)
久しぶりに見たから、ちょっとびっくりしただけ。
やけに早い鼓動にそう言い訳して、私は「うん」とうなずいた。
理由なんて、それ以外にまるで思いつかなかった。
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