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──なんて私の心配は、翌日の昼休みにあっさり解消された。
「なんかさー『ストレスのせいだろう』って」
お医者さんの話によると、ずっと緊張していたりストレス状態が続いたりしていた人が高熱を出すのは、ままあることらしい。
「俺も、あれこれ考えてたときにブワアッて身体が熱くなったからさ。たぶんそうじゃないかって」
「やべーよなぁ」と照れくさそうに笑う、間中くん。
そうだね、たしかにヤバい。今、間中くんが口走った内容は聞き捨てならないことだ。
「ちょっと、整理しようか」
「……うん?」
「間中くんが倒れたのは、熱が出たからだよね?」
「おう」
「で、熱が出た原因は、ストレスのたまるようなことを考えていたから──それで間違いない?」
「間違いない。そんな感じ」
なるほど、ということは──
「やっぱり悩み事はあったってわけだ」
「……へっ?」
「少し前に訊いたよね? 『様子がへんだけど何かあったの?』って。あのとき、間中くんは『なんでもない』って答えたけど……」
実際は、なんでもなくはなかった。後に高熱が出るくらい思い悩んでいた。
「ってことになるはずだけど。それで正解?」
私の指摘に、間中くんは顔を引きつらせた。心の声を想像するなら「あ、やべ」ってところだろうか。
「違っ……俺、何も悩んでなんか……」
「じゃあ、なんで熱出したの?」
「え、ええと……風邪! ただの風邪! ゲホゲホゲホッ……」
「今さら咳しても遅いから」
むしろ、わざとらしいって。いかにも「俺、今、誤魔化そうとしています」って感じで。
というか──
「どうしてそこまで隠そうとするの?」
そんなに深刻なこと?
そんなに話したくないようなこと?
「なんで熱を出すくらい悩んでるのに、何もないってフリをするの?」
詰め寄っているうちに、視界がジワって滲みはじめた。
ダメだ、落ちつけ。こんなことで泣くんじゃない。
でも、悲しい──というか悔しい。どうしてそう思うのかわからないけど、、ただただなんだかすごく悔しい。
「ごめん」
気まずそうな声が、耳に届いた。
「なんか……ごめん、嘘ついて」
「そこは認めるんだ」
「おう……ただ、隠したくて隠してたわけじゃなくて……なんか……どう伝えればいいかわかんなくて……」
間中くんの頬が、うっすらと赤く染まる。まるで風邪のひきはじめのときみたいに。
「じゃあ、正直に言うけど。俺、なんか今わかんなくなってて」
「なにが?」
「池沢先輩のこと。考えれば考えるほど、頭がゴチャゴチャしちまって」
膝を抱えてギュウッと身体を縮こまらせる間中くんは、まるで叱られるのを待つ幼稚園児のようだ。
「どういうこと? もしかして結麻ちゃんのこと、もう好きじゃなくなったとか?」
「違う! 好きなのは変わんない! ただ……」
間中くんは、ぽつぽつと「悩み」の内容を口にする。
かなりとっちらかっていて、あっちこっちに飛びがちな話し方だったけど、要約すると次のようなことだ。
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