第4話

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 あのさ、俺、ずっと「クール系男子」を目指してきただろ?  それって「池沢先輩がクール系男子を好きだから」だったよな?  でもさ、この間池沢先輩に会ってから、いろいろわかんなくなって。  池沢先輩が俺のことを知ってくれてたの、すげー嬉しかった。でも、その理由って「声が大きかったから」だろ? それって、俺らが目指してた「クール系男子」と違くね? むしろ、正反対じゃね?  でも「知ってもらえる」のと「好きになってもらう」のって違うのかな。 じゃあ、やっぱり今までどおりクール系を目指せばいいのかな。どうしよう、わかんねー。  って思ってるうちに週末になってさ。  そう、新人戦の決勝戦。  吹奏楽部が応援に来てくれて、もちろんそのなかに池沢先輩もいて。  俺、すっげー頑張ってゴール2本決めたんだけどさ。そのとき、どうすればいいのかわかんなくて。  いつもなら、シュートが決まると「うおおっ」とか「よっしゃー」とか叫ぶんだ。けど、それってクール系男子っぽくないだろ? 池沢先輩、どう思うのかな。うるさいって思うのかな。 でも、大声をださないと池沢先輩に俺だって気づいてもらえないかも。せっかくゴール決めたのにな。  って、そういうこと、ずっとずっと考えて、でも考えれば考えるほど頭がグルグルしてワケわかんなくなって──
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