第4話

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 新たな謎にモヤモヤしたまま、私は書庫をあとにした。  一方、隣を歩く間中くんはずいぶんと足取りが軽そうだ。 「なあなあ、クール系をやめるってことはさ、ゴール決まったときもふつうにしてていんだよな?」 「もちろん。叫ぶなり、派手にガッツポーズするなり好きにしなよ」 「わかった! じゃあ、今度決めたらバク転する!」  いや、なにもそこまでは──まあ、好きにすればいいけど。 「そういえば、新人戦の決勝戦、勝ったんだってね」 「おう! 来月県大会!」 「吹奏楽部はまた応援に行くの?」 「それが、なんか無理みたいなんだよなぁ。日曜日に試合があるの、2回戦と決勝戦なんだけど、決勝は文化祭の2日目とかぶってるし、定期演奏会の練習もあるから2回戦の応援もたぶん無理って」  そういえば、今年の定期演奏会は会場の都合で2ヶ月遅いんだっけ。それで3年生の引退がのびたって結麻ちゃんが言っていたような。 「まあ、いいけどさ。地区予選のとき、俺のゴール見てもらえたし」 「実は気づいていなかったりして」 「えっ」 「うそうそ。冗談だよ」  笑いながら否定すると、間中くんは少し首を傾げて足を止めた。  ──え、なに?  なんでそんなまじめな顔して、私のことをジッと見てるの?  答えがわからずソワソワしていると、間中くんは「うん」と大きくうなずいた。 「俺も好き」 「……えっ」 「お前が笑ってるとこ、俺も好き」  言いたいことを言えて満足したのか、間中くんはまた軽い足取りで歩き出す。  でも、私は──すぐに動き出すことができなくて。 「佐島? なにしてんの?」  振り向いた彼は、不思議そうな顔をしている。  私の心臓が早鐘のように響いていることに、きっとこれっぽっちも気づいていない。  というか── (なんでこんなに動揺してるの?)  この反応はなに?  どうして私、こんなにドキドキしているんだろう。
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