第5話

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 その答えを見つけられないまま、次の「作戦会議」の日が訪れた。 「あのさ、再来週の日曜日ってヒマ?」 「時間帯にもよるけど。いつ?」 「午後2時! 県大会の2回戦!」  間中くんいわく、日曜日に2回戦が行われるらしい。 「金曜日の1回戦はたぶん勝てる……つーか絶対に勝つ! だからさ、試合観にこない?」  私が? 間中くんの試合を?  驚きすぎて、すぐには返事ができなかった。  だって、誰かに「試合を観にきて」なんて誘われたの、初めてだ。 「ええと……場所は?」 「中央公園んとこのサッカー場」 「へぇ、けっこう近いね」 「だろ? あそこでやるの2回戦までなんだけどさ」  ちなみに、3回戦以降は会場が遠くなるらしい。特に準決勝と決勝は、電車で片道90分のサッカー場で行われるのだとか。 「まあ、いいよ。中央公園のところなら」  うちから自転車で15分くらいだし、間中くんのトレーニングの成果も気になるし。 (せっかく、誘ってくれたわけだし)  私の返答に、間中くんは嬉しそうに目を輝かせた。 「ほんと? 絶対来るよな?」 「行くってば。……1回戦に勝てたらだけど」 「そこは大丈夫。俺、超がんばるから! それでさ……」  パチン、と間中くんは手を合わせた。 「頼む! 池沢先輩にも声かけて!」 「……」 「このとおり、一生のおねがい!」  ──なるほど、そういうことか。  そうだよね、間中くんは結麻ちゃんに観てほしいんだもんね。  私じゃないんだもんね。  そんなのわかってたけど、なんか──なんか…… 「……佐島?」  うかがうような声音に、我に返る。  間中くんは、いつになく不安そうな顔で私を見ている。 「わかった、結麻ちゃんにも声かけてみるよ」 「そっか、サンキュ!」  間中くんの目元が、ようやくホッとしたように緩んだ。  バカだな。まだOKもらったわけじゃないのに、なんでそんなに嬉しそうなんだろう。  意地の悪い考えが脳裏をよぎって、私は慌てて頭を振った。  ダメだ、そんなこと考えるな。  私は、間中くんの協力者なんだ。 「おねがいってそれだけ?」  できるだけ普段どおりの口調で訊ねると、意外にも間中くんは「実はもう1個」って言いだした。 「いいよ。どんなこと?」 「ええと……その、昨日からずっと考えてたんけど……」  どうしたんだろう。こんなにモジモジしている間中くんを見るのは、久しぶりだ。 (なんか……嫌な予感……)  ひそかに身構えていると、ようやく間中くんは顔をあげた。 「俺、文化祭のとき、池沢先輩に告白したい! だから相談にのってほしい!」
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