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真夏の夜の汗
待ち合わせの時間まで間があるので、夕飯を早めに済ませて、浴衣の着付けをした。
夕飯を早めに済ませた理由は、食事をするだけで汗をかいてしまうので早めに済ませた。
そうすれば、まだ大丈夫かもしれないと思った。
でも、着付けをしてすぐに汗をかいてしまう。
世の中、そんなに甘くない。
浴衣は薄いブルーに向日葵の柄の浴衣と、黄色の帯にする。
母に着付けをしてもらい、シニヨンに淡いブルーの簪を付けた。
母には「少しお化粧をして行けば?」と言われたものの、汗で大変だからリップグロスだけにした。
待ち合わせ場所に行くと里衣が佇んでいた。
白地にピンクの撫子柄にピンクの帯、少し薄化粧をした里衣は普段より可愛く見えた。
私は「お待たせ」と言って里衣のそばまで行くと、思わず言ってしまった。
「里衣、いつもより可愛い」
「いつもより?
いつも可愛いはずなんだから。
友香もいつもより可愛いよ。」
「いつもより?
いつも可愛いはずなんだから。」
フフっと顔を寄せて笑い合うと、すぐにお参りをしようと話しながら人波を掻き分けて向かった。
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