真夏の夜の汗

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お参りを済ますと、里衣が私の手を引いて言った。 「こっちよ」 「どこに行くの?露店には行かないの?」 「後で行くから。とにかく、離れないで。」 「里衣?」 里衣は珍しく私を急かす様に歩いて行く。 私は離れない様に、里衣の手をしっかり握る。 里衣は神社の御神木まで行くと、手を振って言った。 「悠生(ゆうせい)、お待たせ」 「里衣〜!」 松井悠生が御神木の近くに立って、手を振っていた。 松井悠生は、里衣の彼氏だ。 仲の良い2人は、どうやら待ち合わせをしていたらしい。 何で私を誘ったのかと文句を言おうとしたら、横の人物に目を奪われた。 そう、原田君が横に立っていたのだ。 私はすぐに里衣の方へ向くと、里衣は柔らかく笑って言った。 「私に感謝してよね。 今日はダブルデートを、セッティングしたんだから。私の大好きなりんご飴を奢ってね、友香。」 「奢るわ、巨大なリンゴ飴。」 私は言うとすぐにタオルを出して、汗を拭った。 里衣は松井君達の前に行くと、私を知ってると思うけどと前置きした上で紹介をした。 私は吹き出る汗をタオルで抑えながら、自己紹介をした。 松井君は私を見て言った。 「土井さん、凄い汗だね。 走ってきたの?」 その何気ない一言で、浮き立った気分が一気に急降下した。
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