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くるくる回る。
くるくるくるくる、時計が回っている。
ちく、たく。ちく、たく。
時間というものは、とても非情だと僕は思う。
昔の人はアバウトな時を刻んでいたのに、
現代の僕らときたらどうだ。
常に時間に追われている。日、時間、分、ましてや秒でさえ。
毎日まいにち急かされているように感じてしまう。
規則的な学校のチャイムも、
けたたましく鳴る目覚ましのアラームも。
休める時がない。本当、疲れてしまう。
だから、僕は時計というものが、時間というものが、嫌いだった。
でも、今は、今日は違う。
僕らの住む街の名物である時計塔の前で、
30分程前から腕時計を見つめている。
全ては、君とのデートのせいだ。
君が、僕とデートをしたいって言うから、
どうしてもっていうから、
今日は嫌いな時計をしているんだ。
君との約束の時間を守れるように。
30分前についているのは、
時計が嫌いだから見るのを忘れたせいで、
決して楽しみだったからとか、別にそう言うわけじゃない。
でも、今日は、嫌いなはずの時計の音が、とても心地良い。
君と会える時が、迫っているから。
全ては君のせい。
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