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「ーーー言われてみれば真木、後半はほとんど滑りにこなかったからなーー… お前みたいに真木の事忘れてるヤツもいるかも。最初の方とか光サークルに来てた時期、真木と結構すれ違ってる気もするしーーーー」 「あのさ恭平」 俺は珍しく、恭平の話を遮った。 忘れるはず無いーーー俺が真木を忘れるなんてーーーそんな事これから先絶対に無い。 「今日の飲み会に、真木が来るの?」 俺の緊張感が伝わったのか、恭平は「うん」とそれだけ返事をした。 「真木って…彼女とかいないのかな」 不自然だとは思いつつも、俺はいきなりそう尋ねた。 莉子が亡くなった事も、愛の妊娠の事も、真木が無関係とは、やっぱり思えなかったからだ。 「ああ…? ーーー女関係に置いては、アイツあんま良い噂無くね?」 恭平から返ってきた言葉に俺は耳をすませた。 そして一階の物音を確認して、愛が確実に一階で料理してる事を確かめる。 「…そうなの? …俺…噂とか、全然疎いからさーーー」 俺は下手な演技をしてる証拠に空いた右手で頭を掻いてしまう。恭平は「みんな言ってるじゃん」と、さも当然のように返してきた。  「それこそいつだか吉岡が話してたよ。 真木に『彼女いる?』って聞くと『好きな人ならいるよ』って答えるらしいんだけどーーー その割にはアイツいっつも違う女の子と食事したり出かけたりしてるらしくて… 単に付き合いが良いって言えばそうなんだろうけど……付き合い良くてもそういう思わせぶりな態度取るのってどうなんだろうなって、この間達弥(たつや)と話してた」 達弥とは、俺と恭平の共通の友達だ。 思わせぶりな、態度。 「まぁーーー…いいヤツはいいヤツなんだけどさ、真木。でもいつだっけか…吉岡が真木が家に女連れ込むの見たって言ってたしーーー女関係に関しては、マジで悪いやつなのかも」 「え?」 俺は恭平の言葉を聞き返した。 部屋のドアをゆっくりと開けると、下から鮭フライを揚げているパチパチとした音が聞こえる。 「茶髪のーーー…すらっとした女の子をお持ち帰りしたの見たって言ってたぜ? 吉岡すげぇ不満そうにしててさ…自分が誘っても断られるのにーーーって…口尖らせてて…。 相当腹立ったんだろうな…」 恭平の言葉が頭の中を何度も行き交う。 間違いないーーーー… 真木はやはり愛と付き合いながらーーー他の女性とも隙あれば関係を持っていたのだ。 それできっと今になって愛の大切さに気づきーーー俺が先ほど見かけたように愛を探している。 やはり莉子の死の原因はーーー真木にあるーーーー
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