氷屋へ嫁ぐことになりましたが、旦那様は冷たいどころか溺愛してきます。

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(うっ。考えていたことを読まれていたんだろうか) 「わたしは旦那様のお体が心配なんです。ゆっくりと過ごして、英気を養っていただければ。それがわたしの望みです」 「分かった。それならば街へ行こうか。月に似合いそうな装飾品を選んであげよう。佩物(おんもの)でもいいな」 「旦那様?」  お互い、会話がかみ合っていない。  しかしこうなると麗は決して譲らないのだ。 (嬉しいけれど、休んでほしいのも本心。すぐに決めて帰ってこればいいかな) * 「月様は青色が似合いますこと。最初の振袖も青でしたね。(あきら)様の髪色とお揃いで、お似合いですわ」  るゐは今日も満足そうだ。目尻の皺が日増しに深くなっているのは気の所為ではないだろう。  笑顔の理由は、めったに私用で外出しない麗が久しぶりの休日に外出するからだった。どうやら子どもの頃の麗は日光に弱く、すぐ体調を崩していたらしい。るゐが月へ対してそんな説明をしたとき、麗はるゐに向かっていつまで子ども扱いするのだと不満そうにしていた。 「あの、るゐさん」 「なんでしょう?」
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