3章

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元夫は、暴力を振るうような人ではなかったし、生活費も満足出来る金額をくれてた。お酒は飲むが酒癖は悪く無かったし、ギャンブルもやらなかった。ただ、一人で居ることが好きな人だった。出会った頃はそれなりに相手をしてくれたが、子供が生まれてしばらくした頃から、私達の相手を余りしてくれなくなった。休みの日は自分の部屋でこもりがちだったが、私が無理矢理買い物に付き合わせたり、直樹と公園に遊びに行かせたりしたせいで、休みの日は家には帰らず、実家へ帰るようになった。それが段々と実家へ帰る日が増え、最後は帰ってこなくなった。それから1年の別居生活が始まったのだ。 もしあの時、元夫を束縛せず自由に一人にさせていれば、元夫は毎日、帰って来てくれてたかもしれない。元夫の事は居ないものとして、直樹と二人で生活してれば、離婚なんてせずにずっと、直樹と一緒にいれたのかもしれない。直樹が大人になって自立した時に、離婚でも何でもすれば良かったのかもしれない。多くの熟年離婚をする夫婦には、こう言った理由もあるのかも知れないと思った。
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