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「あのねぇ、ちょっと厳しい事言うようだけど、綾は母としては何もしてあげてない、そんな追い目を感じてるから中々言い出せずにいる。でも母親としての自分を隠す為に、私の名前を語って息子君に近づいた。そりゃ他人になりすましてる方が楽だよね。追い目を感じることも無いし」
「私は別にそんな……」
「分かってるよ、綾の気持ちも良く分かる。でもね綾、貴方が今してる事は、現実からただ逃げてるだけ。母である事を隠して偽名使って近づいてるだけ。それってどう言う事か分かる?綾は息子君騙して近づいてるんだよ。本当にそれでいいの?」私は何も言い返せなかった。絵理子の言ってる事は正論だ。私が黙っていると絵理子は言った。
「ごめん。ちょっと言い過ぎたわ」
私は首を横に振った。
「絵理子の言う通り。返す言葉もないわ。でも、もう少しだけこのままでいさせて。ちゃんと直樹には、本当の事話すから。直樹の誕生日は9月20日だから、その時には必ず言うわ。だから、それまでは…」
「分かった。貴方が本当の母親である事が、息子君へのプレゼントになるといいね」
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