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実際、この剣は持ち帰られた後に国の研究機関で繰り返し実験されたらしいのだが、それこそ火で炙っても氷漬けにしても刃こぼれ一つしなかったと記されている。
「この剣が手に入れば、俺もこのパワーを最大限発揮して戦えるかもしれないってことか!」
「そういうこと」
にやり、とカナンは笑って本を閉じる。
「ね、ちょっとは元気出てきたでしょ。俺達の最初の目標だ。この剣を手に入れて、持ち帰る!そうすれば、お前のそのチートスキルを生かして戦えるようになる!」
「うんうん。希望が見えてきたぜ!……あ、でも基本的に遺跡で見つかった宝物って、全部国に売らないといけないんじゃねーの?」
「そうとも限らない。初めて見つけたような未登録品の場合は問答無用で国に渡さないといけないけど、カコリアの聖剣は既に八人の冒険家が持ち帰って国に売ってるから……宝物としてのレア度、つまり価値が下がってるんだ。あとは、冒険家によっては“この宝物の研究結果は全て国に渡します”ってことを条件にすれば、自分で研究することを許されることもあるっていう規則がある。ようは、正規の手続きをしつつ、ちゃんと実戦データを国に報告すれば……聖剣をロークの物にすることも充分可能ってわけさ」
「理解した!」
一気にテンション上がってきた。正直、この力のせいで冒険者の夢を諦めなければいけないのかとやや真剣に悩んでいたのである。せっかくの怪力も、制御できずに自分や誰かを傷つけるのではまったく意味がない。ましてや自分は剣士、扱える剣がなければどうしようもないのだ。
だが、自分の怪力を生かせる剣があるかもしれないという。それを見つければ、前世の自分が望んだような“転生してチート無双”が実現できるかもしれないのだ。まあ、それまでの道中の厳しさを考えれば、“まったく努力せずに楽して”なんてことにはならないわけだが、それはそれ。
「よし、早速訓練だ!魔力強化の方法を俺に教えてくれ!スペルなんだっけ!?」
ロークが拳を突き上げて叫ぶと、カナンは一気に切株の上でずっこけた。
「ローク……魔法の授業でやるじゃん。初期中の初期魔法だよ……?スペルからわからないってどういうこと?」
「あ、あれ?」
「……実戦訓練より先に、筆記試験の勉強しないと駄目みたいだね、君は」
「え、えええええええええ!?」
マジですか、それ。
ロークはしおしおとその場でしおれてしまったのだった。
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