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「エミリオ…俺も喉乾いてきた…かも」
「グラン急ぐぞ」
「任せろ!」
二人は更に速く馬を駆けさせ、俺はエミリオにしがみつくのが必死だった。夜中にやっと街へたどり着き、宿屋を探してなんとか一部屋用意して貰った。
部屋は壁が薄く、隣の部屋のいびきなどが聞こえてくるほどだ。二人はひとつしかないベッドを見て俺に譲ってくれた。
「いやいや俺は戦ったりしないからどっちかが使えよ」
「早く寝てください。起きたら早くこの宿を出ますから」
「んっ…うん…」
エミリオに腹を撫でられ俺は小さく頷く。こんな壁の薄い宿屋から出て体を重ねて俺の声が聞きたいって事なんだろうな。
二人にキスをしてベッドに入り布団をかけて目を閉じる。疲れていたのかすぐに眠りに落ちてしまい、目を覚ませば日が高く昇っていた。
エミリオは剣を手入れしていてグランはちょうどどこかから帰ってきて俺を見てヒラっと手を振ってきた。モゾモゾ起きればエミリオは俺に気づき、剣をしまって立ち上がりベッドに腰掛けてきた。
頬に触れてきたので俺から唇を重ねれば舌を絡められ、唇が離れれば今度はグランが顎を掴んで唇を重ねてきて口内を舐めてくる。
「さぁ行きましょうか」
「おう!」
二人はさっさと部屋から出てゆき、俺は二人のあとをついて歩く。ヒソヒソと男女の話し声が聞こえてきて、俺は歩みを止めてそれを聞いてみた。
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