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昨日から雨が降り続いている。
今夜半には上がるらしいが、いっこうにその気配を見せないでいる。
俺のタブレットが通知を告げた。
なんと雨は、上がる前に豪雨をもたらすらしい。
まったく。
まるであの女のようだ。
昨日の夜、俺は恋人に別れを告げられた。しかも一方的に。
マンションの前で繰り広げられた別れ話は、振りだした雨によって解散となった。
それこそ、予報になかった雨なので、濡れることを嫌った彼女は帰っていったのだ。俺の部屋で休むという選択肢などなかった。
俺は慌てて彼女を追ったが、すぐそれもどうでもよくなり、走ることをやめてマンションに戻った。
雨で濡れた俺の髪はうねりを見せ、湿りきったシャツは肌にまとわりつき、心と同様に不快感しか感じない。
彼女の一方的な別れ話は、積もりに積もった怒りが根底にあるから、非常にねじれたものになっていた。
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