夏の夜、あなたの事を考えて

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 私には、片思いしている人がいる。  私が岸くんに惹かれたのは高校二年生の春。つい三ヶ月ほど前だ。隣の席の彼にテスト範囲を聞かれたので、私は自分のアルバムを見ようとスマホを開いた。すると、先程までやっていた戦闘ゲームの画面が開いてしまった。広告で見て面白そうだな。と思ってなんとなく始めたのだが、気づいたらハマってしまっていた。でも、私みたいに運動しかしてなさそうな女子高校生がゲームをやってるなんて、柄に合わないと思われる気がした。言い訳をしようとしたけど、そんなの見つからなくて 「これ、最近始めたんだけど結構面白いんだよね」 と言ってしまった。すると岸くんは 「佐藤さんもやってるんだ!俺もそれやってるよ。今度一緒にやる?」 と笑顔で言ってくれた。  そこから一緒にゲームをするうちに、私は彼が好きになっていた。岸くんから電話がかかってくるのはとても嬉しい。なにより、自分のスマホの画面に彼の名前が映る瞬間がすごく好きだ。彼の前だと上手く話せないけれど、彼は私の話を最後までちゃんと聞いてくれる。岸くんのことを知れば知るほど、どんどん彼が好きになった。  いつも私の心臓が持たなくて、理由をつけて電話を終わらせてるけど、彼はいつも 「また、明日」と言ってくれる。それが、明日もまたかけるよ。という約束のようで嬉しかった。    明日は花火大会の日。  花火大会には、私から誘いたい。  今日のゲームの約束は二十二時。あと三十分しかない。そう思っていると、一通のメッセージが届いた。 『明日の花火大会さ、』
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