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彼の生まれた日
そんなうんこ仮面の誕生は、
遡ること一年前、、、
就職先を考えていた彼は
ある求人募集を発見する。
"君もみんなのヒーロー"
こんな怪しげな広告。
だが、普段から目立つわけでも誰かの役に立つわけでもない彼には
この広告は輝いて見えた。
1週間後。
「緊張するな〜。」
彼は広いドーム状の会場にいた。
周りにはヒーローになろうと集まった
あからさまにガタイのいい人、
見た目からカッコイイ人、
スレンダーな美人。
まるでテレビにでも出ているような
そうそうたる面々に
明らかに場違いな感じの彼。
みんな楽しそうに会話を楽しんでいる中、
輪に入れず気まずい雰囲気で過ごしていると
風格のある男性が会場に入ってくる。
「さぁ、これから基礎体力の測定を行うぞ!呼ばれた者からこちらへ来るように!」
次々と呼ばれるな中、懸命に、
跳び箱、50m走、水泳、遠投、、、
と、こなしていく彼。
しかし、周りは
跳び箱20段を飛ぶ人、
50m走を4秒台で走る人、
100mを超える遠投。
超人的な力を発揮する周りに対し、
彼は少しも目立つ成績はなく、
正直、普通から見ても普通。
そして、最後に待ち構える面接。
数人のガタイのいい面接官に囲まれ
その雰囲気に彼は圧倒される。
その中の一人の面接官が彼に訪ねた。
「君は、なぜヒーローになろうと思ったのかね?」
なぜ?体力測定の時の散々な彼にとって痛い所を突かれる。
普通なのになぜ?そう問われているようにも感じた。
他の人達はすでにヒーローのように輝いていて
、、、。
僕はヒーローらしくはない。
厳しい視線で見つめる面接官に彼は何て答えたか分からない位、頭が真っ白になった。
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