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オコはとても澄んだ色の軽い衣を纏い、その背には誰よりも疾い羽を持ち、憂いを含んだ安らかな微笑みを、薄紅色の陶器のような顔に湛えていた。
美しい声で歌うオコのまわりは愛であふれ、その場所がいちばん優しかった。
「ごきげんよう、オコ」
「歌っておくれ、オコ」
「そしてその美しい顔を、身体を見せておくれ」
誰もがオコを愛してくれたし、オコ自身も愛されている自覚はちゃんとあった。
でも。
気付いてしまった。
幸せなのか。
自分は本当に幸せなのか、という疑問の存在に。
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