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私と碧斗くんは学校での時間以外、いつも一緒です。朝、碧斗くんを学校の門まで送ると、私は彼が校舎に安全に入っていくのを見届けてから、お屋敷に帰ります。彼が学校にいる間は教師が守ってくれると聞いています。そして、いつからか門のところではいつもお友達が待っていてくれるようになりました。
「オレが見といてやるから、心配すんな。リアム」
訳知り顔でツンとしてそう言いながら碧斗くんを校舎へ連れていくのは、「一葵」と呼ばれる少年です。少し偉そうですが目を瞑りましょう。
帰宅した私を出迎えてくれるのは、おばあさま。
「お散歩、付き合ってくれるかい?」
杖の代わりに私が手を引いて、定期的に整備を頼んで毎日お手伝いさんが掃き掃除をしている庭を歩きます。季節ごとに違う花々が咲いてとても美しい庭です。おばあさまは、そのひとつひとつの名前を丁寧に教えてくれるのでした。彼女のイチオシは、モッコウバラとカンパニュラだそうです。
「リアムちゃんは本当にかわいいねぇ。ずっと私の孫だったみたい」
「これからずっとおばあさまの孫ですよ」
「あら嬉しい」
おばあさまは輝く瞳を細めて、照れたように笑いました。
「リアムはおばあちゃん子だね」
時々、碧斗くんはそんなことを言って笑います。
「僕は構われ過ぎるから、リアムといるほうが楽。リアムは下僕だもんな」
「下僕ですか」
「弟ってこと!」
それはちょっと違うと思います、という言葉を私は飲みこみました。
「ねえ、リアムが金髪なのはどうして? 日本製のアンドロイドは黒髪が多いのに」
「お父様とお母様が、金髪の少年型をどうしてもとご希望されていたので」
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