僕らをつなぐひとすじの、

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「はい。いってらっしゃい、碧斗くん」  修学旅行です。旅の間は、学校の先生が子どもたちを守ってくれます。小学校の時もそうでした。ですから、私は未来を予測することができなかったのです。 「母さん、碧斗が怪我をしたって連絡があった。行ってくる。留守中、紗栄子を頼みます」  お父様が慌てた様子でバタバタと去っていったのは、その翌日のことです。私はすぐに理解ができませんでした。  碧斗くんは私が守るべき人間です。私の目を離れたすきに怪我をするなど、絶対にあってはならないことだったのに。    ☆ ☆ ☆ 「ただいま。どうして見舞いにきてくれなかったんだよ? 待ってたのにさぁ」 「リアムはいかないほうがいいとお父様に言われていたのです。碧斗くんの怪我がはやくよくなるよう、毎日おばあさまと一緒にお祈りしていましたよ」 「こんなんかすり傷だって」 「かすり傷では入院しません。リアムの目は誤魔化せませんよ」  得意げに言ったのが気に障ったのでしょうか、碧斗くんは一瞬怪訝そうな顔で眉根を寄せたあと、小さくゆっくりと首を傾げてみせました。 「どうかしましたか?」 「いや……別に」  碧斗くんはそれでもしばらく納得がいかない様子で黙り込んでいました。  怪我の原因はバスの事故だったそうです。被害に遭ったクラスメイトたちも、順調に学校生活へと復帰を遂げました。裁判になる、とお父様とお母様が話しているのをききましたが、リアムには関係ないことなのだと詳しくは教えてもらえません。  そして退院後の碧斗くんは、私を頑なに学校に連れて行かなくなりました。 「最近一葵がこのあたりに引っ越してきてさ。だから送りも迎えもいらねえ」 「一葵とは誰ですか?」
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