僕らをつなぐひとすじの、

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 問うと、碧斗くんは少し機嫌が悪そうに顔をゆがめ、答えをくれないまま出ていきました。しかたなく、私はおばあさまのもとへ向かいます。 「おはよう碧ちゃん。よくきたね」  おばあさまは、私を「碧ちゃん」と呼びます。 「お散歩、付き合ってくれるのかい?」  その手を引いて、私は綺麗に整備された庭を歩きます。名前の知らない花々が色とりどりに咲き誇っています。おばあさまはニコニコしながら、いい天気だね、と時々立ち止まって空を見あげたりしながら、ゆっくりと歩いていきます。瞳には、空と私しか映っていないように見えました。  その日、学校から帰ってきた碧斗くんはすぐさまお母様のお部屋へと入っていきました。普段寄りつかないくせに珍しいこともあるものだと、私は追いかけました。アンドロイドの耳はとても精巧につくられています。扉の向こうの話し声を聞くことなど、造作もありません。 「クラスの奴が言ってたのと状況が似てんだ。あいつ何番目? もしかして今までも変わってた? 俺が気づかなかっただけで」 「……一回だけ。あなたが病院にいる間に、少し不具合があって。でももう大丈夫だから。昔のように接してやってちょうだい」 「無理だよそんなん! あいつ、俺のこと忘れてんじゃん!」 「リアムはリアムじゃないの。違う?」 「もういい、話になんない」 「碧斗!」  お母様のかなしそうな声のすぐあとに、扉が開きました。碧斗くんは廊下に突っ立っている私にハッとして、険しい表情になりました。 「おまえは俺の知ってるリアムじゃない」  厳しい声で、碧斗くんは言いました。さきほどの会話を思い起こしながら、私は答えます。 「リアムは一度も不具合を起こしていません。リアムはリアムです」 「リアムは自分のことをリアムって呼ばねえんだよ」
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