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4人で夕食を取ったあと、マディソンに彼女の寝室に案内された。部屋の壁には彼女自身の作品なのか美しい絵画が架けられ、センスの良い花や木やイルカなどのオーナメントが飾り付けてある。
「スノウと話した?」
マディソンが尋ねた。
「うん。凄く良い子だった」
「そうでしょう? 素直で明るくて、本当にいい子なの」
「彼女は、私よりもずっとしっかりしてる」
「ふふ。あなたたちはあまり性格が似てないかもね。だけど、2人は良い姉妹になれると思う」
彼女は私を育てていた時の話、泣く泣く私と別れることになった時の話をした。
「あなたが生まれたばかりの頃、本当に天使みたいに美しくて愛おしくて……何としてもこの子を守らなければって思ったの。小さな頃のあなたは私の背中をいつも追いかけて、私が絵を描くと嬉しそうに笑った。あなたのために、部屋の一つは壁に自由に絵が描けるようにした。あなたの才能は幼い頃から突出してたわ」
マディソンがその明るいブラウンの目を細め、私を愛おしそうに見つめた。こんなふうに見つめられたことが、過去に何度もあったことを思い出し懐かしくなった。
「あなたに遊んでもらったことや、絵を教えてくれた時のことよく覚えてる。あなたがいなくなってすごく寂しくて、沢山泣いたわ。私があんまり泣くもんだからママは困ってた」
「ごめんなさいね。寂しい思いをさせて申し訳なかったけれど、あのときはそうしなくちゃいけない事情があったの。私たちの将来について……特にあなたの未来について、何度もイザベラと話し合った。まだ5歳の幼いあなたを置いてくるという決断は本当に苦しいものだったけど……。環境を大きく変えるよりも、シドニーで伸び伸び過ごすことがあなたにとって最善だと思ったの」
その後で大きく息を継いでマディソンは言った。
「あなたさえ、よければなんだけど……」
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