2. 2025年3月13日

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 空港に迎えに来てくれたマディソンは、喜びに表情を輝かせ、母と私にハグをした。 「イザベラ、本当に久しぶりね!」 「マディ、あなたに会えて嬉しい」  母と言葉を交わしたあと、マディソンは私の方を愛おしげに見つめ、再び強く抱きしめた。彼女からは、遠い昔に嗅いだことのある懐かしい匂いがした。 「本当に、大きくなったわね」  彼女の明るいブラウンの瞳に、涙が浮かんでいる。5歳まで私を育て、離れてもなお遠い国から見守ってくれていた人が、目の前にいる。まるで今この瞬間が夢か幻のようで、今にも霞んで消えてしまいそうな感覚に襲われる。 「あなたに会えて本当に嬉しい。長い間私たちを助けてくれてたのがあなただったこと、ついこの間知ったの。あなたのお陰で生きてこられた。本当にありがとう」  マディソンは、今にも泣き出しそうな顔で、私を宝物でも見るかのように慈しんで見つめる。 「私はあなたの母親のようなもの...。当たり前のことをしたまでよ。何よりあなたが、こんなに素敵な女性になってくれたことが幸せよ」  マディソンの家に向かう車の中で、助手席に座る母と運転席のマディソンは、久しぶりの再会に高揚感を露わにしている。私は後部座席で1人、窓の外のロンドンの街並みを眺めていた。  昔ながらの赤煉瓦調の巨大な建物や、年月の経過によりアンティークな灰色にくすんだコンクリートのビルの一階部分に設られた、Dr. MartinやGAPなどファスト・ファッションの店、その前の歩道を行き交う人々の群れ。カフェのテラス席では、スーツ姿の男性が新聞を広げている。  私たちの乗る車の前には、丸い屋根の二階建ての赤いバスが走っている。  来たばかりにも関わらず、私はすでにロンドンの街が好きになりかけていた。ここに来るべくしてやって来た。過ぎ去って行く目の前の街並みを眺めながら、不思議な運命を感じてならなかった。
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