≪16≫ 永遠の夏

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「さよなら、千秋」 ザクッ、ザクッ、ザクッ、 「俺もあとから逝くよ」 ザクッ、ザクッ、ザクッ、 燦々と照りつける太陽は、自分の最期を見守ってくれているようで、そうじゃない。眩い光は、輝きは、万物へ平等のようでいて、そうじゃない。これ以上の慈悲はないと遥かな高みから突き放す。 ザクッ、ザクッ、ザクッ、 きっと、太陽の近くにはあの時の月もいるのだろう。 全てを見てきた月が。 ザクッ、ザクッ、ザクッ、ザクッ、ザクッ、ザクッ、 身動きも取れず、徐々に埋められていくだけの絶望感のなかで、俺の両目が最後まで捉えていたもの。それは、雲一つない蒼空。 蒼一色。 「パパ、ばいばい……」 この日、藤川千秋(  お れ  )という名の罪は穴に埋められた。 決して赦されることのない過ちを犯した愚かな罪人は、この場所で永遠の罰を、永遠の夏を過ごしていく。大切な想い出も、最低な想い出も、全部、全部、抱えて。終わらない、――永遠の夏を。
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