永久欠番001

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永久欠番001

組織ができて俺は少し浮かれていたのかもしれない。 下見に行こうとした時だ。 ──なるべく怪しまれず、普通に、普通に。 俺は人の目線を気にしすぎていたのかもしれない。おかげで他のことに気が向かなかった。心臓がバクバク鳴っている。まだ下見なのに。 やはり悪いことをしていない俺はこれからしようとしていることに罪悪感を抱いているのかもしれない。 俺は母親からの虐待を受けていた。そういう時は大概負けた時だ。この時の母親は人に八つ当たりをしていた。父親が止めようとしたら母親の矛先は父親に向いた。そして俺に戻ってきた。父親はそれから見てないふりをした。俺はそれから極力家から出ないように。もし出るなら長袖長ズボンの服装で外に出歩くようにしていた。 あの時と比べると痣は幾分良くなった気がする。半袖も少しずつ着れるようになった。002は喜んでたっけ。 俺は002に下見の結果のメールを送った。 プーーーー。キキーーーッ。ゴン。クラクションの後に嫌な音が響いた。気がつくと俺は自分を見下ろしていた。
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