溶けない怒りに砂糖を加える

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 * * *  数年後。  もはや笑いが止まらない。  学者時代のツテやコネを辿ると、いとも簡単に国政へと参加することが出来た。  そしてお金が面白いように集まってくる。  ハッキリと、清々しいほどに、僕は一切何もしていないのに、何故かお金が蟻のように群がる。  このおかしな仕組みを変えることこそが政治家の務めだとも思ったが、いざ自分に集まってくると止められないのは、もう仕方がない。  それに僕には大義がある。  人類にとって有益なものへ投資するという大義がある。  そこが、そのあたりの政治家と僕の決定的な違いなのだ。  つまり僕は許される。  多少歪んだお金の集め方をしたとしても、大義があるから問題は無いのだ。  そして僕は巨万の富と国政への影響力という武器を携え、宇宙開発機構へと乗り込んだ。  宇宙開発機構の偉い人に言う。  ――総力を持って、外宇宙で固体牛乳を探せ。  すると偉い人間は答える。  ――人類が外宇宙へ行けるようになるのは、数百年は先でしょうね。  ……なんてことだ。
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