溶けない怒りに砂糖を加える

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 ――つまり何とかせねばならない。  では何が悪かったのか。  正しい分析を立て、早急に改善せねばならない。  僕は考える。  少し考えると、気が付く。  ――もしかして、これは僕が悪いのか?  しかし、もう少しだけ考えると更に気が付く。  問題の根本はそこではない。  ――僕が悪いというよりも、そもそも僕を嘲笑(あざわら)い理解しなかった者達が悪い。  つまり固体牛乳の必要性を理解せず、人の情熱を笑った奴等のせいで、僕は僕の本分を(まっと)うできなかったわけだ。  ――ゆるさない。  僕は他人の想いを理解しようともせず、利と損でしか人類の発展を計れない、短絡的かつ打算的な人類の(ごう)を憎まざるを得ないのだ。  それこそ学びに学んだゲノム解析を利用し、人間を種として存続できないようにしてやりたいところではあるが、そんなことをしてもアイスは溶けるので意味は無い。  そして、生物学を修めた今ならわかる。  牛乳が固体だと牛の赤ちゃんが飲み込めなくて困るので、生物学上、固体牛乳は有り得ない。
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