溶けない怒りに砂糖を加える

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 では、どうすればいいのだろう。  生物の構造上、常温で牛乳は固まらない。  それはもう、(くつがえ)りようのない圧倒的な真理。  では、この世には常温で固体を保つ牛乳など存在しないということか。  諦めかけていたその時、僕は気が付く。  ――いや、僕はまだ、この世の全てを見ていない。  僕は、既存の常識の範疇でしか考えていなかったのではないか。  つまり、地球上では存在しない(ことわり)であろうと、この広大な宇宙の何処かでは我々の常識なんて毛ほどの意味も成さない場所があり、そこでは固体牛乳が当たり前のように存在している可能性だってあるはず。  きっとそうだ。  まだ人類が知らない何処かで、広大な宇宙の何処かで、きっと牛乳は固体のまま待っている。  つまり、だ。  探せばいい。  我々の既存の常識など通用しない、宇宙の果てを、探せばいいだけなのだ。  僕は気付いた。  気が付けば、行動すればいい。  怒りは全ての原動力。  僕を嘲笑ったあの憎き常識の奴隷どもを、今度は逆に嘲笑ってやる。  僕は絶対に、奴等をゆるさない。  なので、僕は宇宙飛行士を目指すことにした。
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