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翌年。
ダメだった。
宇宙飛行士選抜試験を受けてみたら、いとも簡単に落とされた。
十数年以上研究室に籠っていたこともあり、体力検査でも切って捨てられた。
軽いジョギングで吐き気を催した際は、あるいは、とも思っていたが、結果は無情だった。
あと、一次面接で志望動機を訊ねられた際、アイスが溶けるからです、と答えたら、変な顔をされた。
憤る。
――何故、どいつもこいつも理解しないのか。
必然、僕の思考はそこに行き着く。
体力テストの結果などは僕を落とす言い訳に過ぎず、奴等はただただ理解できなかっただけに違いない。
これは明らかに僕が悪いのではなく、奴等の傲慢な態度が悪いのだ。
学会の奴等といい、面接官といい、人はある程度の地位を得ると傲慢になるのがよくわかる。
他人の想いを理解しようとしない、あの傲慢さ。
――ゆるさない。
他者を下に見ることでしか自身の優位性を保てない、傲慢にして歪な人類の恥ずべき本質を、僕は絶対に許すわけにはいかないのだ。
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