かき氷屋の雪男

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 俺の知人の雪男、すなわち雪女の男性版である氷室(ヒムロ)はかき氷屋を営んでいる。氷の彫像のようなあいつの美形っぷりと、あいつの手から生み出されるかき氷の繊細なくちどけが評判で、店は女性客でいつもごった返している。女達の熱視線など意にも介さず、氷室は妖術で淡々とかき氷を作る。しかし妖力を使うのもなかなか大変なようで、疲れやらストレスやらが溜まると、氷室は俺を食事に誘う。行くのは決まってカレー屋だ。氷室は辛いものが大好物で、いつも白雪(しらゆき)のごとき肌を真っ赤にして、汗をダラダラ流しながら激辛カレーをかき込む。暑くなってくると、自分の手のひらいっぱいに雪を出現させて、自分の頭にぶっかける。いやいや、無茶すんなって。
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