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2022年7月18日「カレー屋さん」
この子はきっと、モテる子だ。
「みんなで食事したから、よし! まーた仲良くなっちゃってまあ! とか思ったんだけどなー」
だから、好きになったんだ。
「それで次の日になったら、よそよそしくなっちゃってさー」
「男女分け隔てなく、仲良くなれたらいいんだけどね」
俺は、君と仲良くなりたいけどな。
「そうだよねー」
もう終わってしまう。
終わらせたく、ない。
「うちまで送ろうか?」
「いや! そこのスーパーで買い物して行くからいいよ!」
「そっか、オッケー」
即答で断られてしまった。
やっぱり、脈なしかな。
「このまま電車乗るんでしょ? 気をつけて帰ってね」
「あい、じゃあね」
「うん、じゃあね」
気をつけてね、ぐらいは言っとくべきだったな。
好きな子と2人で食事をした帰り道。なんとなく、切なさを感じていた。
楽しかった。彼女を誘うまでの過程も、一緒に食事をしている時も、その後も……。それなのに、どうしてこんなに胸が苦しい。
理由が頭の中で導き出されそうになる。どうしても、その理由を理解したくなかった。
わかってしまったら、俺は、泣いてしまう。
そんな気がした。
ライトがつかなくなった自転車と、夜道を歩く。
イヤホンから流れてくる歌たち。
ふと、シャッフルで聴いてみる。
ああ、「Pretender」に共感できてしまう……
そんな自分が、大嫌いだ。
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