2022年7月20日「課題地獄」

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2022年7月20日「課題地獄」

「まだ、課題やってたりする?」  やっぱり、返信が遅い。  この前の食事から、返信が遅くなっているような気がする。いや、サークルの後からか? もし、サークルの後だとしたら、心当たりはある。  たぶん、有言実行できなかったからだ。  彼女に話しかけることができなかった。それが、原因だと思う。  まあ、特に深い意味はないのかもしれないが。  大学の図書館を出る。すぐそこにある池の周りを散歩することにした。 「何やってんだ……たぶん、もう帰ってるだろ……」  独り言が、勝手に零れ落ちてくる。  どうしても、諦めることができなかった。  もしかしたら、バス近くにいるかもしれない。  いなかった。  とりあえず、小説のネタでも考えようと思い、そこら辺のテーブルにパソコンを置く。  本当は、課題をやらなければならない。だけど、やる気が起きなかった。  やらなければいけないレポートがあると、なぜだか筆が進む。もちろん、小説の。 「8時まで、やろうかな」  どうせ、返信は来ない。  わかっているのに、一縷の望みに賭けようとしてしまう自分は、本当に馬鹿だと思う。 「……俺は、嫌われてない」  ブームが過ぎてしまった漫画のセリフを口にする。  なんだか、もっと悲しくなってしまった。  もうすぐ、8時になる。  ふと、図書館の閉館時間を確認してみる。 「8時半まで……か」  本物の馬鹿だと、自分でも思った。
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