羽音の終わり

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 暫くすると、遠くから大きな炸裂音が飛んできた。  花火の音だろうか。  おそらく、何処か遠くで花火を打ち上げているのだろう。  実にうるさい。  花火なんて、(かたわ)らで見ている人は心が踊るのだろうが、見ていない人からしてみれば、単なる騒音だ。  それに深い時間ではないが、今は夜のはず。  夜は、眠る時間のはずなのに。  日が暮れたら極力静かにして周囲に迷惑を掛けないよう、子供の頃に教わらなかったのか、この花火は。  それでもどうしても打ち上がりたくて仕方がないのであれば、いっそ昼間に打ち上がればいいじゃないか。  しかしどんな時間帯であれ、静かな時を必要としている人もいることくらい、いい加減悟るべきなのは、わざわざ言うまでもない。  それでも、貴重な悟りの機会を失ってまでも尚且つ打ち上がるというのであれば、完全防音の密閉空間で打ち上がって、そのまま全て()ぜてしまえ。  花火以上に華やかな情景が広がるだろうさ。  誰も彼もがお祭り騒ぎを望んでいるわけでないというのに、どうして理解しないのだろう。  僕にはさっぱりわからない。  僕は単純に眠りたいだけなのに、花火が全てを巻き込んで爆ぜないものだから、また寝苦しくなってしまうのだ。
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