桃色は嫌いだったけど

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私はメッセージアプリに登録された『モモ』の名前を見つめている。 連絡先を一応登録してあるものの、ほとんど使ってない。 家族以外も家族も。 通知はショップのお知らせやニュースばかり。 いざモモに連絡しようとスマートフォンのアプリを開いても、久しぶりすぎてドキドキして、たぶんもう一時間くらいは固まっている。縛り術の魔法をかけられたみたいに。 相手は実の妹なのに。 でも。 机に開いたままのノートパソコンをもう一度眺める。画面を埋めつくした文字たち。あの子たちは旅立つときを待っている。だから。 『ちょっとお願いしたいことがあるけど、いい?』 メッセージを送信した。
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