50人が本棚に入れています
本棚に追加
先頭の一番ごつい体格のチンピラは、半そでから入れ墨が見えている。
「何、逃げてんだよ、舐めたことしてんじゃねえぞ、コラ」
委縮した女の子らの腕を掴み、立たそうと引っ張る。
「オマエ、こいつらをそそのかして、連れ出したんだろ? 表に出ろ」
咥えたばこのまま、後ろから出てきた金髪の男が、相田の胸ぐらを掴んだ。
相田は無表情のまま、視線を九に向ける。冷たい流し目は、九に向けられたまま動かない。
「いやいや、ご自分で、対処してくださいよ。勤務時間外ですし、こっちは、給料を下げられて、やる気が出ないっすよ」
「戻してやるから、処理してくれ、こいつらを」
九が頷く。と、たばこ男の手首を掴み、相田から引きはがした。
「いてててっ。なにすんだ、てめえ、コラッ!」
「まぁまぁ、オレが表に出て、相手になってあげるから」
「ふざけんな、コラッ!」
たばこ男が、激高するのもお構いなしに、九が、女の子ごと、チンピラ集団を外へと押していく。
チンピラ集団は、四人いた。女の子と合わせて六人。
皆、店内に残る山月と相田を睨みつつ、留まろうと抵抗するが、九が触れると、意に反して外へ外へと体が動いてしまっているようである。吸い込まれるように、狭い入口から、全員が、店の外に出て行った。
最初のコメントを投稿しよう!