8.秘伝の忍術

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「うわっ、やめろ! 暴れるなって!」  遠くの方で、カイトの声がした。  そして、脳が揺らされるような衝撃があって、山月の首は解放され、地面に倒れた。  息ができていた。  まだ、死んでいなかったのだと自覚する。  そう安心すると、急に全身に痛みが走った。アドレナリンのせいで気付かなかったが、体中の肉が腫れあがり、所々、骨が折れているようである。  悶えるように転がり、痛みに耐えていると、九の声が聴こえた。 「なんなんだ、てめえっ! やめろ、やめろっ!」  山月は、痛みを堪えようと草むらの中に、顔を埋めていたが、少しだけ首を振って、辺りに目を配る。  ナインが、九と戦っていた。  ナインは、まるで、熊か狼のようなケモノに見える。  野生のケモノが人間を襲うがごとく、ナインが一方的に九を攻め立てていた。 「ナ、ナイン……。キ、キミが、戦うことはない……。た、助けないと……早く……」  気ははやるが、体が動かない。立つことすら出来ない。 (な、何か……何か、出来ることはないのか……)  その時、山月の頭の中に、忽然と、一つの忍術が思い浮かんだ。  虫獣創生(ちゅうじゅうそうせい)。  それは、山月流忍術の秘伝中の秘伝だったが、山月は、その術を使ったことがない。
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