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「違法行為を察知して、すぐにその場で、対応されたのですか?」
「まぁ、そんなところだ。イチイチ所轄に連絡してたら、被害が広がるだろ? 私は、そういうのは、見過ごせないたちなんでね」
山月は、相田の底知れない正義感に脱帽する。若くして、警視総監に抜擢された理由がわかった気がした。
世間が噂するような、首相の弟だから抜擢されたわけではない。
「あの、まだまだ、質問があるのですが、よろしいでしょうか?」
「どうぞ。なんでも聞いてよ」
「あの、その……。先ほどの、私が特務職に入るというお話は……」
「ああ、それな。そうだった、まだ、その話、途中だったね」
相田が、ウイスキーのロックに口をつけ、カラカラとグラスを振った。
「山月には、明日から、警視総監直属の特務警官になってもらう。異動だ」
「え? あの……その……。と、特務警官って……今日、初めて聞いたのですが、何をするのでしょうか?」
「なんでもしてもらうよ。私が、こうしたいと思うことを、私の代わりに実行してもらう役回りだ。普通の警官は、世のため、人のために日夜働くけど、特務警官は、私だけのために、働くんだ」
「そ、そんなことって……」
「キミは、明日から、私の犬だ」
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