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保沢夏美さん殺害事件。
当時二十歳の大学生で、一人暮らしをしていた彼女は、五年前、雑木林の中で、遺体で発見された。
着衣は乱れ、性的暴行を加えられた跡もあった。
その後、容疑者として浮上したのが、斎藤だった。死亡推定時刻の二時間前、バイト帰りで自転車に乗る夏美さんの横に並び、しつこく声をかける斎藤の姿が、雑木林近くの防犯カメラに映っていたのだ。
マスコミも世間も注目する中、ようやく斎藤の逮捕に踏み切った警視庁だったが、送検するも証拠不十分で起訴できなかった。
あれから五年……。
「事件が風化するのを待ってたんだ。殺人事件を犯した犯罪者が、のうのうと生き永らえることは、許さない」
相田から言われたことと、全く同じ言葉を九が、斎藤に言った。
「く……。くそっ……。オレは、犯人じゃねぇ。やってねぇ。検察もオレを起訴しなかったじゃねえか……」
「だから、こうやって、成敗しにきたんじゃないか」
「ど、どういう意味だ?」
「オマエが犯人だって、わかってるんだよ」
「証拠はっ!? 証拠がねえから、不起訴なんだろっ!? ふざけんなよ、コノ……ぐぎゃあああぁぁぁああああっ!」
九が、斎藤の脇腹に小刀をぶっさし、真横に、ゆっくりと裂いた。
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