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斎藤の遺体を地中に埋めた。
誰が準備したのか、二メートル以上の深さの穴が掘ってあった。そこに斎藤を放り込み、土をかぶせるだけでよかったので、大した手間では無かった。
「まだ、息してたな、あいつ……。しぶといやつめ……」
「えっ!? ってことは、生き埋め?」
山月は、全然気づかなかった。死体遺棄に手を貸しただけのつもりが、殺人に協力してしまったことになる。
「なに、驚いてるの、山月くん。どうせ死ぬんだから、どっちでもいいじゃん」
山月の息は荒い。運動をしたあとということもあったが、それよりも興奮しきっている。初めて、人が殺されるのを見て、初めてそれに手を貸した。
「きゅっ……九は……、な、慣れたもんだな……さすがだよ」
山月は、九に睨まれる。そして、息を飲んだ。
九は、黒い服を着ていたが、それでも返り血を浴びていることは、はっきりとわかった。
「山月くん、今日は初めてだったから、しょうがないけど、次は、ちゃんと活躍してよ。期待してるからね」
“悪魔が微笑んでいる〟
山月の目には、そう映った。
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