50人が本棚に入れています
本棚に追加
「この女の子らのことは、気にしなくていい。ちょっと、そこで助け出してきたんだ」
相田が連れてきた若い女らは、二人だけでしゃべっていて、こちらには興味が無さそうだった。
「で、今日の用件は何スカ? この山月くんも、特務職に入るんすか?」
「察しがいいじゃないか、九。その通りだよ。今日は、顔合わせだ」
山月は、緊張して声が出なかったが、いきなり告げられた辞令に驚き、ジントニックをがぶ飲みする。
「九、一人じゃ、心細かっただろ? 私が、これはと思うヤツをチョイスしたんだ」
相田は、「よろしく頼むぞ、山月」と言って、ポンポンと山月の肩を叩いた。
「別に、星谷さんが戻ってくるなら、それで良かったんですけどね……わざわざ新しい人、任命しなくても」
「なんだ、九? さっき、ダーツで負けたことを根に持ってるのか?」
「負けたことは気にしてないっすよ。ただ、給料が下がるのは、勘弁してほしいっす」
「なんだ、そっちのことを気にしてるのか」
山月の視界の隅で、入り口のガラス戸が開いた。
「おいおい、やっと、見つけたぞ、お前ら。何てことしてくれたんだ、コラ」
チンピラ風の男たちが、敵意むき出しの視線を向けてきていた。
最初のコメントを投稿しよう!