夏の夜は暑くて寒い

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十年後…… 青年は母校の大学教授の任に就いていた。 青年は自分が預かったゼミナールの学生に大学近くのファミリーレストランのことを尋ねたのだが、夏の夜になると、いつの間にかちょこんと席に座っている少女の幽霊がおり、いつの間にか姿を消していると言う噂話が十年間も変わらずに残っていた。 成仏、出来ていないということである。 こんな暑い夏の夜が来る度に、青年はぷりんのことを思い出すだけで胸の中が暑くも冷たい風が吹き痛み出す。 青年に出来るのは、夏の夜の牢獄に囚われた虜囚たる少女に同情するだけ……  なのかも知れない。                               おわり
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