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11、エピローグ
(あーあ、学校、辞めちゃおうかな)
(何で? 何か、やりたいことでもあるの?)
やりたいこと。
ある。
(あなたの側で生きていきたい)
二階の理科室から、姫は騎士を見下ろして。
(あなたと一緒に歩きたい)
姫はドレスの裾を翻して、ひらりとバルコニーを飛び降りる。
(では姫)
騎士は舞い降りる姫を全身で受け止める。
祐輔は郁也の手を取った。
「俺の嫁さんになって」
キラキラと楽しそうに笑う祐輔の瞳。そこには、郁也と過ごす未来が映り込んで。
祐輔は純白の花嫁衣装に身を包んだ郁也をギュッと抱き締める。
「一緒に行こう。どこまでも、ふたりで」
「……うん。うんっ!」
郁也も祐輔の首に腕を巻き付け、祐輔のこめかみに頬ずりした。
「祐輔クン」
「ん?」
見慣れた焦茶の優しい瞳が郁也の言葉を待っている。
郁也は息を大きく吸い込み、弾けるように笑って言った。
「だーい好き!」
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