冴木学の場合

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 扉から出てきた私を見た学くんは、慌てた表情を浮かべて駆け寄ってくる。往来の中央でお互い顔を合わせることになるのに、私は迷うことなく細身の体に勢いよく抱きついた。 「み、美羽姉!?」 「学くんごめん。ごめんね」 「謝るのは俺のほうなのに。まいったな」 「…………」  抱きつきながら顔をあげて、学くんを見つめる。あえて無言を貫いた。 「えっと昨日は本当にごめん。緊張しまくって怖くなって、頭の中が錯乱してしまった感じでさ」 「…………」 (だって学くんは、はじめてなんだし、緊張して当然なんだよ。わかってるからね) 「美羽姉はなにも悪くないんだ。俺が全部悪くて」 「学くんは悪くないよ。私たちのタイミングが合わなかっただけ。だからこそ、今すぐにリベンジして」  時間が経てば経つだけ、失敗を引きずってしまう。それを回避するために提案してみた。 「リベンジ?」 「私をラブホに連れて行って」 「ぶっ!」  目を白黒させた学くんは首まで顔を赤くし、なぜだか視線を彷徨わせる。 「ラブホに行けるの? 行けないの?」  私の自宅だと昨日のことを思い出す可能性があったし、学くんの自宅だって今日一日悩みまくった場所になっているだろうから、あえてラブホの選択をした。 「いっ、行けます。行けるんだけどその前に、なにか食わないと。俺、ずっとなにも食べてなくて」 「だったらコンビニに寄ればいい。ラブホでかわりばんこにシャワー浴びてる最中に、食べればいいよ」  なぜ、流れるように言葉が出るのか――学くんの行動くらい、幼なじみとして先読みしているからこその発言だった。 「あ、うん。わかった」  こうしてすんなり、ラブホに誘導することができた。コンビニで購入したお弁当を私が食べてる間に、学くんが先にシャワーを浴び、その後入れ違いに私がシャワーを浴びる。  そして現在、並んでベッドに座ってる。 「学くん、私を食べることができそう?」 「昨日できなかったせいか……。準備がしっかりできてる」  バスローブの上からでもわかる、学くんの雄の印に安堵したけれど、まだまだ安心できない。 「ちゃんと準備ができてるか、確かめてもいい? 触るよ?」 「う、うん、どうじょ!」  恥ずかしそうに顔をあさってに向けて、思いっきり噛みながら返事をした学くんをかわいいなと思いながら、バスローブを捲ってそれを握った。 (服の上からでもわかるくらいに伝わっていたけど、やっぱりすごく大きい。こんなに大きいの挿れるの、はじめてなんですけど――)  お腹についてしまいそうなくらいに熱り勃つ学くんのモノをぎゅっと握りこんでから、数回上下した瞬間だった。手の中に生暖かい欲が、勢いよくぶちまけられる。 「つっ~~~うっ!」  両手で顔を恥ずかしそうに押さえた学くんが、首を左右に振りまくって、声にならない声を出す。 (学くんが未成年じゃないとはいえ、やっぱりなんとも言えない罪悪感が拭えない……)
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