鷹谷さんのお家

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「実はあの家、結構古くに建てられてたみたいでね、鷹谷さんより前にも、何人か住んでいたそうなの。ほら、これが前に住んでた人の情報」 米子はメモ帳を指で示した。 ・O一家(三人家族) 1992年に越してきたが、その四年後、一人で母親の買い物の帰りを待って留守番をしていた小学生の息子が突如姿を消した。警察は誘拐の線もあるとみて捜索を行ったが、見つからなかった。その二年後、両親がこの家を手放した。 ・K一家(三人家族) 1981年に越してきたが、その五年後、留守番をしていたはずの小学生の息子が家から姿を消した。子供の靴が消えていたことから、家出の可能性が疑われ、近所で大規模な捜索が行われたが、結局は見つからなかった。その一年後に両親がこの家を手放した。 ・S一家(三人家族) 1965年にこの家を新築。二年後には長男も誕生し十年間暮らしていたが、ある日、両親が二人とも出かけて、小学生の息子が留守番をしていたが、母親が家に帰ってきた時にはいなくなっていた。最初は留守番を放ったらかしにしてどこか友達のところにでも遊びに行ったのだろうと考え、特に不自然には思っていなかったが、夜になっても帰ってこないので流石に不安になり、息子の友人宅に電話をかけるなどしたが、息子は誰とも遊んでいないことが判明し、警察に通報。その後、町内で大規模な捜索が行われるも、見つからなかった。その数か月後、一人息子の死を大いに悲しんだ両親は思い詰め、首を吊って心中。 米子によると、これらの情報は近隣住民の話や、図書館に保管されている新聞などで集めた話をまとめたものらしい。 「ひ、ひえぇ…じゃああの家って、併せて四人の子供がいなくなってるってこと?」 「そういうこと。色々と考えたくなるような話でしょ?まあ、清一さんはこれだけの情報じゃ弱くて使えないってボツにしたみたいだけどね。ここまで調べさせといてそれはないんじゃないかしら、って怒ったのを覚えてるわ」 米子はやれやれと呆れる素振りを見せた。 「まっ、とにかく、あんまりいい噂のある家じゃないってことは確かね。それからは気味悪がって、誰も住もうとしていないみたいだし」
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