夏だ!祭りだ!ナンパしよう!

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夏だ!祭りだ!ナンパしよう!

「もうすぐ夏!夏と言えば祭りだ、祭りと言えばナンパだ!というわけで海翔(かいと)、協力してくれ!明日のニクラ祭で俺とコンビを組んで狩りをしてくれー!!」 「その理屈はおかしい」  今年こそは彼女ゲッツ!と意気込む同じ大学の友人、聖治(せいじ)。いや、彼女を欲しがるのはわかる。しかし何故、そのための手段がナンパ一択なのかツッコミたい。一体いつの時代だ、今は令和だぞ。 「何でナンパで彼女ゲットしなくちゃならねーの。一歩間違えるとセクハラって言われるぞ今のご時世」  僕がやや正論でツッコミを入れると、彼は“そんなことない!”と反論してきた。 「夏祭りの夜の女の子は、浴衣を着て浮かれている!ちょっと観光地気分でテンションがハイになっている!そんな時、お洒落で若くて紳士的なイケメンコンビが声をかけに来てみろよ、普段よりも警戒しないでほいほいついてきてくれるだろきっと!」 「お前そのうち訴えられるぞマジで。ていうか誰がイケメンだよ」 「俺と、おまけでお前!」 「殴られたいのか貴様」 「いくら俺だって出逢ったその日のうちにお持ち帰りしたいなんて夢は持たない!でも一晩の夏祭りムードで、一気に手を繋ぐくらいのところまでは持っていきたいだろ!できればキスまで!」 「何その微妙な夢見る乙女的思考……」  はあ、と僕はため息をついた。本当は行きたくない。夏祭りは好きだが、できれば一人でのんびり屋台を見たいタイプだし、もっと言うとナンパには全然興味はない。正確には、彼女が欲しい気持ちはあるがリスクと見合わないというべきか。  しかし、この様子だと聖治は僕が付き合わなくても一人で行って暴走するだろう。お目付け役の意味でも、行かないわけにはいかなかった。 ――しょうがねえなあ……。  僕にはわかっていた。  今年も、聖治には彼女ができないで終わるだろう、と。何故ならば。
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