泡沫の夢

6/6
前へ
/7ページ
次へ
 夢という名のひと夏の物語。  エンドロールの先に望んだ結末は決して訪れはしない。  一番望まない形で物語は進んでいく。  きっと完璧なエンドロールなんてない。  未完成なまま物語は進んでいく。  そこにきっと私はいない。  もしもこの物語がもう一度始まるのならプロローグは最高の出来になったらいいな。  でも、そんな日はきっと訪れない。  いっそのこと雨が降ってしまえばいい。  そうしたら上を見上げていられるから。  最後の強がりぐらい上手にさせてほしい。  そして私は糸を結う。  ありったけの思いを込めて。  ありがとう。  そして、さよなら。 「よかったね。二人ともお似合いだよ」  私は笑顔でそう、うそぶいた。  雄太君と私の波形。  それはこれからもずっと「友達」。  ずっとこのまま。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加