プロローグ

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プロローグ

 祖母は私にあやとりを通して大切なことを教えてくれた。  あやとりは人の心や関係そのもの。  人は心の中で感情の糸を結う。  編みあがった糸は私だけの特別な作品。  波打つ糸は人の気持ち。  その波形、一つに込められた思い。  それを大切にする。  私はまだ短い人生の中でたくさんの心のあやとりをしてきた。  それはきっと皆がそうで私に限ったことではないと思う。  私は特別な糸を知っている。  その糸が織りなすあやとりは他のものとは違う特別なもの。  あなたを思うたった一本の糸が織りなす一つの波形。  私はそれを胸に秘めた。  あなたと私が編みあげるその作品をなんて呼ぶか知ってる?  人はそれを恋と呼ぶんだよ。
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