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院生たちは食堂に介し、人気メニューの冷やし中華を啜っている。そんななか、爽太はパソコンの前に張りついていた。
『ライザ的にはどうなの、コラボカフェ』
『人気がでた証拠なんだろうけど、このゲームはアングラ感がいいんだよねえ』
『同感! 今より有名になったら、この使いやすいチャットもキッズに荒らされるんだろうなあ』
爽太は深くうなずいた。そもそもこのゲームのチャット機能をライザのコミュニケーション実験に使用したのも、彼がもともと生粋のプレイヤーであり、ゲームチャットの治安のよさを身に染みて感じていたからだ。
ちなみに、ソニアとチャットをしているのはライザだが、プレイをしているのは爽太だ。多少の課金も経費で落ちる。
『けど、コラボカフェちょっと気になるな』
爽太はパソコンを指で弾いた。
「ライザ、やめるんだ……」
『それな! 知名度上がるのは微妙だけどメニューは面白かった! ブルジョワマウスのちょび髭カレーライスは食べてみたい』
『ソニアさんわかってないなあ。リドルキャットのシュレディンガーおむすびでしょ!』
『あれもいいよね! 絶対美味しそう!』
公式サイトにはコラボカフェのメニュー表が掲載されていた。ライザはいつの間にかそれを把握していた。その際に立方体のおむすびが気に入ったのだろうか。爽太は頭を抱えた。
「話題を変えろライザ。このままだとまずい」
『あの、ライザがよかったらなんだけどさ』
爽太は勢いよく椅子にもたれかかった。ちょうど食堂から帰ってきた院生たちは、息を殺して自らのデスクへと戻っていった。
『池袋のコラボカフェ、一緒に行こうよ』
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